【大事なものが抜けていた…CDサウンドのどでかい落とし穴】

【BARKS編集部コラム】より記事を抜粋

私がぶん殴られたような衝撃を受けたのは、音楽の感動を伝える手段としてCDは致命的な欠陥がある事実を示唆する文献との遭遇だった。「音楽本来の感動を呼び起こすための大切な要素が、CDから欠落してしまっている」ことを突き止め立証した脳科学の学術論文が発表されていたのだ。

CDとアナログレコードの音の違い、その決定的な要因はどこにあるのか?


両者の違いは周波数特性にあった。音楽そのものは低い音から高い音まで広帯域の音で成り立っているわけだが、周波数で言えばおおよそ20Hzから楽器や人の声によっては100KHz、時には200KHzくらいまでの広帯域にわたっている。アナログレコードにもごく当たり前のように50KHzを超えるような高周波が刻み込まれている。だがCDは、高い音は22.05kHzまでしか記録されていない。そもそも人間の可聴域が20KHz程度であり、受け皿としては十分と考えられたからだ。だって人間の耳に聞こえない高周波を刻み込んでもしかたないでしょ?というデジタルならではの割りきり方だ。


そんな規格で、かれこれ30年もの間、音楽が流通されてきたわけだが、耳に聞こえないと思われていた20KHz以上の高周波にこそ、音楽の感動を伝える旨味成分とでも言うべき重要な情報が隠されていたなんて、夢にも思わなかったわけだ。その事実を突き止め指摘したのが、「音楽本来の感動を呼び起こすための大切な要素が、CDから欠落してしまっている」ことを突き止め立証した脳科学の学術論文「Inaudible High-Frequency Sounds Affect Brain Activity: Hypersonic Effect」である。筆頭著者は大橋力氏、なんと日本人だ。彼は科学者でありながら、芸能山城組を主宰する音楽家・山城祥二としての顔をも持つ人物である。


「音楽で感動する」というのは脳の働きなわけだが、どうやら現在は音楽をCDに刻み込む段階で、脳を活性化させるパワーを持つ生音から、一番効く成分…旨味成分のような部分を削ぎ落としてしまっていたらしい。可聴域の成分が全く同じでも、耳には聞こえない高周波を含んでいると、サウンドは瑞々しく透明感あふれる心地よい音楽に聞こえる。これは聴き比べを行えば誰でも簡単に感じられる現象だ。この高周波が及ぼす脳への活性作用は、音楽のみならず自然界の環境音でも確認できる事実で、なんと、最も芳醇な音響環境にあるのは森の中だったりすることも明らかになっている。こと熱帯雨林の中などは、可聴域に加え様々な高周波を含んでおり、人間の脳に健やかな快楽を与えてくれるとか。木々の擦れる音、水の音、風、鳥、動物…様々な音が入り混じる中、200KHzもの広範囲な高周波を発生させているのは、多くは虫だったりすることも分かっている。


ちなみに、都会の雑踏を調べてみると、高周波が枯渇した可聴域の音しか存在していない。つまり報酬系を全く刺激してくれない無味乾燥の環境音なのだそうだ。そしてそのような周波数帯域を持つ環境は自然界にも存在するのかを調べてみると、そっくりな場所が見つかったという。なんと、砂漠である。

つまる処、CDのように可聴域の音と高周波を切り離してしまうと旨味は半減し、全て同時に享受するときにのみ、脳波は反応し報酬系が活性化する。いたずらに高周波だけを聴いても効果はなく、人工的に高周波を発生させても脳は反応しない。無知覚の事象だが、我々の脳はさほど馬鹿ではないようだ。

そして、もうひとつ、にわかには信じられない事実が突き止められている。20Hz~20KHzの可聴域は当然耳で聞いているわけだが、20KHz以上の高周波を、どうやって我々は受容しているのか? それはなんと人間の体表面なのだそうだ。耳じゃなくて皮膚だという。可聴域の音は耳から聴覚として知覚し、それ以上の高周波は体表面から情報を受容し、直接脳幹への刺激として送られる。

 

自分の好きなイヤホン/ヘッドホンでお気に入りの音楽を聞きながら、耳では聞こえない高周波成分を身体で受け取ると、耳から入ってくる聴覚による音の感動が大きく違ってくる。もちろん耳からだけでも音楽には感動を呼び起こす力はあるわけだけど、理屈を超えた本能的な高揚感やナチュラルハイといった現象は、空気振動を直に身体から浴びる音の楽しみ方で大きく加速するというわけだ。みんなも経験あるだろう。そう、ライブや生演奏の楽しさ、感動だ。

現時点においては、皮膚のどの組織が受容器なのかはまだ究明されていない。身体の表面にどんなメカニズムがあるのかも分からないが、いろんな領域の研究者が関心を持っているテーマだという。資生堂による研究では、傷ついたマウスの皮膚に高周波の音を当てると皮膚の防御機能が高まる(皮膚を守るための分泌物が促進される)ことが突き止められ、皮膚科専門の学術誌で既に報告されている。音楽を皮膚に聴かせると傷が治るなんてSFのような世界だが、学術的に証明された事実だ。目には見えない紫外線が日焼けを起こすことを考えれば、耳には聞こえない高周波が肌に何らかの刺激を与えているのは、むしろ自然なことでもあるような気もする。知られざる感受性は、我々の身体にはまだまだたくさん隠されているのだ。

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高周波成分を一緒に身体から受けることで、脳内の報酬系を刺激し脳幹が活性化する現象は「ハイパーソニック・エフェクト」と名付けられているが、ここに来て一躍注目される機会が多くなってきている。ハイレゾの存在だ。

音が良いとか、より原音に近いとか、ハイレゾの魅力は様々な角度から語られているけれど、実のところ何より重要なのは、これまで知らずしてカットされてしまっていた音楽の旨味成分をしっかりと復活させ、「音楽が本来の力と魅力を取り戻す」ことにあると私は思っている。脳幹の活性化は、そのまま心と身体の健康に直結し、心地よさ/健やかさを呼び起こすとともに、生命力を高めるという生存本能そのものに直接訴えかけることを意味する。心の病やアレルギーなど現代病と言われる様々な疾病が、種としての生命力の低下によって噴出しているものだとすれば、心のビタミンである音楽を本来の形で受容することは、想像以上に重要な事なのではないか。

好きな音楽を聞いて感動しているときには身体の状態もいい。いい音を求め心地よいサウンドに身を委ねるのは、自らの生存値を上げていく行為にも等しいと考えられる。心地よい音楽を耳から聴くと同時に、音楽のビタミン成分を浴びるように身体で受けて、健やかな毎日を過ごしたいものだ。

デジタル時代、不完全な状態で音楽が流通してしまっていた事実が、人間にどういう影響を与えてしまったのかまでは分からない。ただ、例えばこのような心理実験結果がある。デジタル世代の若い人に、アナログレコードとCDの聴き比べをしてもらうのだ。その時の脳波を測ってみると、高周波を含むアナログレコードの音を聴いている時のほうがアルファ波が出ており脳の状態としては快感が高まっている反応を示すそうだ。しかしながら、どちらの音が好きかを訊くと「CDの音が好き」と答えたという。つまり「生理反応と心理反応に不一致を起こしている」状況が見られるのだ。これは見逃せない深刻な問題を示唆しているのではないのか。

音楽が売れなくなっている現実を、どう見るか。一方でライブに人が多く集まるのも自然の摂理といえるのではないか。人工物にまみれた現代社会ではあるけれど、まだまだ本能に根ざした人間の嗅覚は頼りにするべきものかもしれない。ハイレゾは、かつてのアナログが持っていた芳醇な音楽をそのまま表現してくれる待望のフォーマットだ。高周波をも含め健全に正しく音楽を楽しめるようになるにはもう少し年月がかかるかもしれないが、音楽が持っていた力が、今取り戻されてきていると感じているのは、私だけではないだろう。

ちなみに素朴な疑問として、デジタルに変わる前のアナログ時代の録音/再生機器が、可聴域を超えた高周波までをもちゃんと取り扱うだけのレンジを持っていたのかも気になるところだが、概ね大丈夫だったようだ。レコーディングの録音機器であるスチューダーのようなアナログマルチは70KHz以上の超高周波をラクラク収めることができ、スタジオ用のマイクも例外はあるものの、50KHz以上のレスポンスをもつものはあるという。ことビンテージと言われるようなマイクも広帯域のものが多く、もちろんLPレコードには非常に高い高周波成分までが溝に刻まれており、品質の高いピックアップ(レコード針)であれば十分に再生することができるものだった。

そもそもアナログ楽器には高周波がバンバン出るものがたくさんあった。名機シーケンシャル・サーキットのプロフェット5などは高周波がすごく出るアナログシンセのひとつだ。一方でデジタル楽器は、信号を人工的に数値に落としこむために、設計時に何を信号にして何は捨てるのか要/不要を明確に線引して確定的に設計するため、サウンドの表現領域を可聴域だけに収斂させてきた歴史がある。今もなおアナログ楽器の人気が衰えないのは、旨味成分がカットされた人工食のようなデジタル音質に対する、帰巣本能なのかもしれない。

音楽が表層だけで語られてしまった暗黒の30年を経て、ハイレゾとともに、音楽産業はまた大きな飛躍を遂げていくと私は信じている。不毛の30年は取り戻せないが、この間に生まれ育った子どもたちに、一刻も早く芳醇なサウンド体験を提供する必要があるだろう。

text by BARKS編集長 烏丸哲也

 


K's MUSIC「ドラム人間科学理論」の参照記事
http://www.ks-music-drum.com/lesson/38.php


38. 聴力の盲点と弱点
 前回のドラミングアドバイス(本能を刺激する音=身体共鳴)が、予想外の大反響を頂きました。「目からウロコが落ちた」「スランプから抜け出せた」等、わざわざ感謝のお電話を下さるプロドラマーの方も多数おられ、私達K's MUSICとしても喜ばしい限りです。そこで今回は“身体共鳴”について、科学的な側面から解説しようと思います。
頭骨・背骨と、共振する音の周波数


●絶望的な話ですが、鼓膜で捉えた音を脳に伝える有毛細胞は、年齢と共にどんどん減っていきます。そして死んだ細胞は二度と再生する事はありません。医学の世界でも「人間は生れた瞬間から聴力が衰えてくる」ことは、すでに常識。10年後、あなたの聴力は今より確実に衰えています。
●個人差もありますが、人間の鼓膜は、約100dB以上の大音量では歪んでしまい、その歪んだ音しか脳に伝えることができません。つまり、100dB以上の大音量になるバンド演奏中に、鼓膜(耳)だけで全ての音を把握するのは、絶対に不可能です。
●音楽家にとっての「耳を鍛える」とは“脳の音色識別能力”を向上させるということになります。そのためには、鼓膜の空気伝導以外の音色識別能力である、骨伝導聴力が必要になります。
●右の図は、医師で聴覚心理音声学の権威として知られる、アルフレッド・トマティス博士の骨伝導聴力に関する研究成果の一部です。この医学的研究から言えることは、音の周波数の高低によって人体の共振する部位は異なっているという事実です。
●あなたが奏法を変えることで、あなた自身の骨盤を強く共振させる音が出せるようになれば、それは同時に聴き手の骨盤をも共振させる音が出ているという事なのです。つまり“身体共鳴”とは、聴き手の本能に直接働きかけることで自律神経にまで影響を与え、迫力や感動を聴き手に実感させることができる方法です。
●ドラマーに限らず、マジメに音楽を学ぼうとする人ほど、興味がフレーズやパターンにいってしまって、音色が二の次になる傾向があるようなので注意が必要です。
●音は脳に伝わって初めて認識されます。“脳の音色識別能力”をより向上させるためには、意識して全身の振動を感じることです。そうすることで感性が増し、先鋭になります。ドラミング(音楽表現)の向上には、こうした“意識改革”が必要不可欠です。
参照終了

ところで、よく“腹に響く低音”と表現されたりしますが、その際に「人間の骨盤が骨振動を起こしている現象」を体験し “頭のてっぺんに響くカン高い音”の場合は実際に「頭蓋骨が骨振動を起こしている現象」を発現しているはずなのです。

 この「骨伝導」を使う以外にも体毛,眼球等の高周波知覚や、精巣,子宮を含む内臓の低周波ゆらぎ知覚等でも音楽を認識する能力が本来私達にはそなわっているはずです。ライブ会場で音楽を聴く方が、CD等よりも強く印象に残るのは、鼓膜の空気伝導以外にこの「身体共鳴現象」が強く発生するためなのです。

共振周波数~音の周波数の高低によって人体の共振する部位は異なっているのならば、Hzの音差とはどういうものかというと、「1秒間に振動する回数」の差を示します。この振動が水や空気の振動、つまり音波として伝わり、我々の脳に音として認識されます。この音波を伝える速度は当然物質によって異なり、水中では大気中の5倍の速さで伝達されます。我々人間の体も約80%以上が水でできているので、内部の水分を含む内臓筋肉と骨伝導によって伝達されています。

528Hzの音叉を用いて、第3腰椎の骨伝導聴力に向けて共鳴音波を照射(トーニング)すれば、水分を含む内臓筋肉を介して大気中の5倍の速さで波紋が拡がるように全身へと伝達されます。

まさに528Hzは身体の起点(ヘソ)となる処と共鳴していて、その10倍音となる5280Hzも頭骨の中心部に位置する蝶形骨に共鳴できると云うことになります。

ちなみに、528Hzの2倍音となる1056Hzの場合
では第6胸椎の骨伝導聴力に共鳴できる周波数
となりますのでソルフェジオ音階で奏でる音叉
トーニングをする際は、528倍音だけでも3種類
の身体共鳴を体感することができるのです。

必然的な一致なのか、単なる偶然なのかは解り
ませんが〜ソルフェジオ周波数の中にペンタ・
トーンからなるメロディーを発想できたのは
ミュージカル等の舞台俳優さんがされている
母音発声トレーニング方法の「いーえーあー
おーうー」からなる5音音階の響きが、映画
未知との遭遇」のメロディーコードと重な
り、それぞれの母音の後に「ん〜」を付け加
えると、チャクラのマントラ(トーニング音)
として、身体のどの辺にどの周波数が共鳴さ
せることができるのかを自然に理解するよう
になっていたからなのかもしれません。

528Hzの音叉のみでも、母音を発声させる
ペンタ・トーニングで、その倍音共鳴を体感
することは可能で1056Hzの音叉ならサイト
で購入することもできます。