「この世の生物は、遺伝子的にまったく新しい形で 10万年から20万年前の間に突然登場した」
生物種の全面的な大規模遺伝子調査により、生物進化の新しい側面が明らかに⁉︎
かつてない生物種の遺伝子大調査が開始された時に、そこから、このような結果が出てくることを誰が想像しただろうか? いや、そもそも、このような大規模な遺伝子の解析が実際に行われるということさえ想像されたことがあるだろうか?
実際に行われたのは「 DNA バーコード(DNA barcodes)」の全調査プロジェクト、というものだ。
これは、アメリカ政府が運営する遺伝子データバンク(GenBank)にある、世界中から数百人の科学者たちによって集められた 10万種の生物種の DNA と、500万の遺伝子断片である DNA バーコードと呼ばれるマーカーが徹底的に調べ尽くされたのだ。
それを行い、その「結果」を報告したのは、米ニーヨーク・ロックフェラー大学のマーク・ストークル(Mark Stoeckle)氏と、スイス・バーゼル大学のデビッド・タラー(David Thaler)氏であり、共同でその内容が発表された。
そして、その内容は「生物の進化がどのように展開されたか」についてのこれまでの定説を揺らがせるものだったのだ。
覆されるかどうかはわからなくても、定説が揺らぐことは間違いがなさそうだ。
定説とは何か? 現在の生物学の教科書では、たとえば、アリでもネズミでもヒトでもいいのだが、大規模な個体群を持つ生物種は時間が経過するほど遺伝的多様性が増すとされている。このように時間の経過と共に、生物が進化してきたというのが定説だ。
しかし それは本当なのだろうか?
その問いに対して、今回の研究の主任著者であるマーク・ストークル氏は次のように述べた。
「いいえ、それは違います」
ストークル氏は、地球上に住む 76億人のヒトも、5億羽生息しているスズメも、あるいは、10万羽生息しているシギたちも、その遺伝的多様性は「ほぼ同じくらいなのです」と AFP に語った。
おそらく、この研究の最も驚くべき結果は、人間を含む現在地球上に存在する生命種のうちの 10種のうち 9種が 10万~ 20万年前に出現したことが明らかになったことだろう。
「この結論は非常に驚くべきことであり、この問題に対し、私は可能な限り、非常に厳しく自分自身で反論を試みました」とデビッド・タラー氏は AFP に語った。
このタラー氏の自分自身の研究結果に対して反論する態度という反応は理解できる。
何しろ、この調査によれば、この地球上にいる生物種の 90%は「ほぼ同じ頃に地球に現れた」ことになるのだ。
これをどう説明すればいいのだろうか?
その 20万年前に何かそれまでの生物種をすべて消し去るようなカタストロフ的な事象が何かあったとでもいうのだろうか。
カナダの分子生物学者であるポール・エイバート(Paul Hebert)氏は、2002年頃に「 DNA バーコード」という用語を作り出し、COI 遺伝子を解析することで種を同定する方法を描いた。
今回、研究者たちは、10万種の生物において、このような DNA バーコードを解析したのだ。
その結果として、ほとんどの動物がヒトとほぼ同時期に出現したことを示す明確な証拠を発見したのだった。
そして、研究者が目にしたものは、いわゆる「中立」な遺伝子変異にばらつきがないことだ。
この「中立変異」は、世代を超えて生じる DNA の微小な変化で、生物個体の生存可能性に対しては有利にも不利にもならない。言い換えれば、進化を後押しする自然淘汰は中立変異が無関係であることを意味する。
この中立突然変異が、互いにどれほど類似してるかは樹木の年輪を見るようなもので、これにより一つの種のおおよその年齢が明らかになる。
その結果、こんにち地球上に生存しているうちの圧倒的多数の種が、ほぼ同じような時期にこの地球に出現したとなると、その理由は一体何なのだろう。
ダーウィンは困惑している
環境的な大きな外傷がこの一つの可能 性であるかもしれないとロックフェラー大学人間環境プログラムの代表であるジェッセ・オースベル(Jesse Ausubel)氏は説明する。
「ウイルスの蔓延、氷河期、新しい競争相手などを含め、これらはすべて動物の人口数が急激に減少する時期をもたらす可能性があります」と氏は AFP に語った。「これらの時期に、遺伝的イノベーションが生物種を消し去り、新しい種の出現に寄与することは十分にあり得ます」
このような種の人口減をもたらす環境要因等を「ボトルネック効果」というが、これは部分的な説明にしかならないだろう。
知られているところでは、最後の地球での大量絶滅事象は、6550万年前に小惑星だと思われる巨大天体の衝突によって発生した。この時の大量絶滅では、地球上の恐竜と、すべての生物種の大半が消滅した。
今回の研究者のひとりであるタラー氏は以下のように述べた。
「最も簡単な解釈は、生命は常に進化しているということです。進化の過程の中では、いつでも、その時点で生きている動物が比較的最近出現したものであるという可能性が高いのです」
この見解では、ある種が持続するのは一定の期間でしかなく、その後、新しいものに進化しなければ絶滅するということになる。
今回の種の研究からは、予期せぬ別の発見も得られている。
それは、「生物種には非常に明確な遺伝的境界があり、2つの間に位置する中間種は何もなかった」ということだ。
タラー氏は「中間にあるべきはずの種がない」ことについては、ダーウィンも困惑しているのではないか述べた。
この論文は、人類進化学の専門誌「ヒューマン・エボリューション(Journal of Human Evolution)」に掲載された。
〜転載終了
進化の過程での矛盾的側面であるミッシングリンクについては、この記事の後半の部分にあります~
「生物種には非常に明確な遺伝的境界があり、2つの間に位置する中間種は何もなかった」
というのも興味深い発見です。
これはつまり、「少しずつ進化していくと言われるような《中間の生物種が存在しなかった》ことが遺伝子解析ではっきりした」からです。
もっと簡単にいえば、
「この世の生物は、遺伝子的にまったく新しい形で 10万年から20万年前の間に突然登場した」
ということになりそうです。
現行の科学では、これは解釈がしようがないことになり、真剣に受け止めると混乱が広がる可能性がありますので、現状で出来得る対策としては、「無理やり全否定する」か「なかったことにする」かどちらかしかない気もしますが、「無理やり全否定する」には DNA バーコーディングを否定しなければなりません。
これを否定するには、DNA の構造も否定しなければならなくなり、もっと進めば、「 DNA なんて存在しなかった」くらいにまで現行科学の全面的な否定へと突き進まなければならないかもしれません。
ダーウィンの進化論という、以前は神の法則とまでされた「生命に対する掟」を守るために。
今、「生命に対する掟」版での天動説が揺らぎ始めているのかもしれないのですが、これまでの生命進化の常識を覆すような新たな真実との出会いがあるんだとすれば、それこそがアカシックレコードのコードからもたらされる「生命の起源との繋がり」によって得ることができるようになるんだと思います。